vol.02

鹿革の傘

生地に鹿革を使った傘――。貴重な一枚革をできるだけロスなく裁断して製作した、唯一無二の傘のお話です。

傘プロデューサー 傘プロデューサー

長西 俊晴 TOSHIHARU NAGANISHI

傘業界40年の経験を活かした傘のプロデュースをしています。お客様のご希望に添い、さらに満足いただけるご提案を心掛けています。

長西 俊晴

ご依頼のきっかけ

鹿革を取り扱うお仕事をされている方からのご相談でした。それまでも変わった素材のご要望はありましたが、さすがに驚きました(笑)。でも、鹿革は通気性が良くて蒸れにくく、撥水性もあるんです。確かに晴雨兼用傘にはいいかもしれないと思うようになりました。
ただ牛革なんかに比べて鹿革はサイズが小さいんです。独特の風合いやキズをそのまま活かすため、一枚革でつくることになったんですが、それでは一般的な紳士傘には生地が足りない。何とか少し小ぶりの47㎝サイズを確保するのがやっとでした。

鹿革を取り扱うお仕事をされている方からのご相談
課 題
  • 一般的には傘に使用しない素材
  • 限られたサイズでの製作

いつもと同じようにつくれてまたビックリ!

この世に1本しかない傘

鹿革は思ったよりも柔らかく、伸縮性にも富んでいました。ポリエステルなど、通常の傘生地と同じように縫い合わせることができ、強度も問題ありません。途中で切れたりすることもなく、意外なほどスムーズに製作することができました。匂いも大丈夫でしたね。
今までに見たことのないカッコいい傘ができ、お客様にも大変喜んでいただきました。私も素晴らしい経験をさせていただいてうれしい限りです。この世に1本しかないその傘は、ディスプレイとして使っていただいているそうです。

こんな変わった傘も作りました

防弾・防刃の傘

護身用品を取り扱う会社のご依頼で、最初は防弾生地で傘をつくれないか、というお話でした。ジャンプ傘タイプにして、素早く身を護れるアイテムという発想です。
防弾というぐらいですから、繊維のシートが何層にも重なっていて厚みは1cmほどありました。これはさすがに厚すぎて断念。
それならと、もう少し薄い防刃繊維でつくることになりました。防刃の素材を傘用に裁断できるだろうかという不安はありましたが、こちらは問題なく傘になり、喜んでいただけました。

防弾・防刃の傘
ビニールハウス・断熱シートの傘

ビニールハウス・断熱シートの傘

ビニールハウスに使う、遮熱効果のある素材を使った日傘のご依頼をいただいたことも。この素材、繊維が網目状になっていて遮熱性とともに通気性もありました。なので、陽射しも入ってきてしまうんです。そこで表に遮光生地、裏に遮熱性のあるビニールハウス生地という二重貼りでサンプルを製作しました。
ほかにも断熱材メーカーのご依頼で、住宅用の断熱シートの日傘をつくったこともあります。一見、白いビニールシートのような素材で雨も通さないので、晴雨兼用として使えるものなりました。こちらはサンプル製作後、あらためて製品としてご注文いただきました。
このように別の用途として使っている素材を傘にすることで、新たな可能性を生み出すことができるかもしれません。ぜひ一度、カムアクロスにご相談ください。

こんなことにお困りではないですか?

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