石突がないと生地が破れる
「石突」とは、広辞苑によると「地面を突く部分の意」。傘に限らず杖やピッケル、矛や鎗などでも、地面に突き立てる部分を「石突」と呼ぶようです。つまり傘の石突の役割は、閉じて持ち歩く際に地面を突くことにあるんです。
石突がないと、常に宙に浮かせて持ち歩かないといけません。ついつい地面を突いてしまうと、生地にダメージが…。だから石突、というわけです。そのため、折りたたんで持ち運ぶ折り畳み傘には、石突はないんです。
石突は傘の長さを調整している
傘を閉じたときの長さ(全長)はどれぐらいがいいでしょう。ステッキのようなイメージで、少し腕を曲げた状態で地面に着く感じがベストではないでしょうか。使う人の身長によりけりです。
では傘の大きさはどうでしょう。大きいと重くなって取り回し面でマイナス。小さいとコンパクトですが、濡れやすくなります。このあたりは使う人の好みやシーンによりけりです。
なので、小さな傘でありながら長めだったり、大きな傘で長さは控えめだったり、といった傘も商品ラインナップに必要です。そこで石突の登場。長さの調整をするわけです。
石突のデザイン「中棒一体型」
傘の柄の部分、手元から伸びる中棒(シャフト)がそのまま生地を貫通して、石突になっているスタイル。150年以上の歴史を誇るイギリスのフォックス・アンブレラズ社の傘のイメージから“フォックスタイプ”とも言われています。中棒の素材が活かせることができる、伝統的なスタイルです。*業界用語では、共先・棒先・先長などと呼ぶこともあります。
石突のデザイン「別石突」
中棒の上から別に用意した石突をかぶせるのが「別石突」。中棒の太さや素材に関わらず、さまざまなデザインにできるのがポイントです。中棒にかぶせるので、太さは基本的に中棒よりも太くなります。子供用は安全性をたかめるために、太くて先を丸くしたプラスチック製のものを採用することが多いです。
機能とデザイン、両面の役割をあわせもつ石突。あまり意識されることのない部分ですが、傘の印象を左右する隠れたキーマンです。傘選びのチェックポイントの一つとして注目してみてください。